第二部 第二章 六波羅蜜多

三学をさらに発展させると倍の六波羅蜜多になります。

(1)持戒波羅蜜三学の戒
(2)禅定波羅蜜三学の定
(3)智慧波羅蜜三学の慧
(4)布施波羅蜜布施をする
(5)忍辱波羅蜜侮辱にも心静かに耐えること
(6)精進波羅蜜仏陀に近づくよう根気よく努力すること

私の解釈

波羅蜜多は聞き慣れない言葉ですが意味は修行して悟りに到達することだそうです。

六波羅蜜多なので、学ぶだけの三学から、実践の項目が三つ追加されています。 注意して欲しいことは、八正道の八より二つ数が少ないことです。 みなさんも、六波羅蜜多と八正道の比較をしてみてください。

なぜ八正道より六波羅蜜多が少ないかということについて、私見を書きます。 理由は、六波羅蜜多はお寺で修行しているときに行うものだからです。 お寺で修行中は、実社会から切り離されているので、 八正道から実生活で必要な項目・正業が切り離されて、 十悪の悪行や悪口を戒として取り込み、修行向けに再構成されているのです。 お寺で修行中とは、師から学ぶときですからね、 修行中は六波羅蜜多を守り、八正道を知識として学び、 心と言葉と行為の訓練をして合格し卒業して、 実社会で八正道に従い生きて行きなさい、ということですね。

布施波羅蜜は、布施をすることで、八正道の正命にあたります。布施については、別の章で説明します。 六波羅蜜多の布施は修行中の布施なので、布施の練習という意味が強まるでしょうね。

忍辱波羅蜜は、「侮辱にも心静かに耐えること」です。他人からの悪口、たとえば、非難、中傷、侮辱や罵詈雑言にも心を静かにし、さらりと耐えることです。 逆は、怒る、喧嘩をする、取り乱す、泣き喚く、愚痴をこぼす、言い訳をする、逃げる、正しい信念を捨てるなどです。 忍辱波羅蜜は、八正道の正思惟と正念にあたり、正見で知った教えを守り正定と正精進重ねることで耐えることができます。 自分に対する意見や悪口を、苦しいこと、つらいこと、嫌なことと捉えないで、 アタリマエの反応であると捉えることが、心静かにさらりと耐えるコツです。 これまでの自分の言動の結果として、意見や悪口がやって来るのです。 たとえ、多くの人に良いことをしても、一部の人にとっては良くないことが多少残るものです。 意見や悪口は、当然与えられる反応であると予測し、普段から対策を考え練習しておく必要があります。 少なくとも、意見や悪口を静かに聞いて受け止めるようにしなければなりません。

師から学ぶときに、今までの自分の考えと違うので、師から非難されたと誤解することが無いようにしたいものです。 智慧波羅蜜、つまり正見に至るには自分の過去の過ちを認め乗り越えなければならないので、忍辱波羅蜜が必要です。

精進波羅蜜は、八正道の正精進、「高い目標を定め、根気よく努力する」と同じですが、お寺で修行している状況を想定して、「仏陀に近づくよう根気よく努力すること」としました。

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(更新日: 2017年03月23日)
幸せ研究室