第三部 第四章 中道

中道とは、厳しすぎる苦行やそれと反対の快楽のみを追求することを否定する考え方です。

具体的な問題と回答を書いてみます。

Q. 仏教なら全員出家して僧にならなければいけませんか。

A. いいえ、人それぞれに進む道は違ってよいです。人々の幸福のためになる職業はたくさんあります。

Q. より多くの人のために、家族を捨てて社会のために働くことが必要ですか。

A. いいえ、身近な家族を第一にそして社会も大切にしてください。
その比率は人それぞれです。その時その場で比率を変えてもかまいません。人それぞれに進む道は違ってよいですからね。
例えば、あなたが独身であれば親の承諾を得て社会のためを中心に仕事をすることも良いでしょうし、あなたに家庭があれば家族や子供のことに多くの時間と力を割いてかまいません。
ただし、家族や社会の人へ自分の立場を優しい言葉で正直に話して理解してもらうことが大切です。そうすれば「一人でも多くの人が幸福になることが善」という教えに適います。

Q. 贅沢は禁止ですか。

A. いいえ、その時その場で相手に合わせた服装や食事をすればよろしいです。あなたがあなたなりの贅沢を人に見せることで人々が幸福になればよろしいかと存じます。
例えば相手を喜ばせるために豪華な服装が必要な職業があります。
注意して欲しいことは、実力や金力に合わない浪費はいずれあなた自身を苦しめることになります。ですから今のあなたに相応しい贅沢の範囲があります。この範囲を守りましょう。

Q. ケチをしないといけないですか。

A. いいえ、極端な贅沢の反対である極端なケチは、相手を不快にします。いずれあなた自身の心も不快になります。
あなたにお会いする人々を喜ばせる範囲で節約をお願いします。

Q. 努力努力努力と歯をくいしばりがんばっているが苦しくてたまりませんこれでいいのか不安です。

A. ちょっと休憩してみませんか。
あなたがスポーツ理論に少し詳しいなら、練習でいたずらにバーベルを持ち上げても力が付かないことをご存知のはず、適度な休息がないと筋肉に力は付きません。
物を作るときもいだすらに一人でがんばっても成果はたかがしれています。料理では時間がたたないと美味しくならないものがあるように時間でしか解決できないものもあります。物の性質をよく考えて作り方を変えたほうが良いかもしれません。
考えをとりまとめているとき迷いや混乱が生じたら休憩が何よりも必要です。あなたの頭脳も生きており疲れて来るものです。
物を買ってもらう商売の場合、買う側が実際に購入するまでにには段階があり時間がかかります。まず、知ってもらう、聞いてもらう、信用してもらう、試してもらうなどの段階ですね。たくさんの人に知られるにはそれなりの時間がかかることは致し方ありません。
ちょっと休憩して一笑いしてみてください。あまりに辛い苦痛に苦しむあなたを見て周りの人があなたに声をかけられないこともあります。「分かち合う悲しみは半分になる」にしても悲しみが大きすぎると相手に負担が大きすぎます。余分な苦しみを友人に与えることにならないように苦しいがんばりを減らしてください。
空いた時間で今のやり方より簡単でより多くの人が幸福になる方法を工夫しましょう。

Q. 今のままでいいんです、仕事もありお金もあり家族もあり健康だし、ずっとこのままがいいんです。

A. あなたは変化を恐れていませんか。もしそうだとしたら今から少しだけ変化について学びましょう。変化とはいわゆる諸行無常のことですね。いずれ、あなたにも席を譲るときが来ます。余裕のある今こそ、一人でも多くの人が幸福になることを考えておくことも必要かと存じます。

Q. 目下の者に間違いを指摘され引っ込みがつかない、今まで育てた恩を忘れたような言い草に腹が立ちます。

A. 鏡をみてご自分の顔をよく観察してください。優しい目つきとおだやかな笑顔が現れていますか。よく顔の筋肉を動かして表情の練習をして見てください。あと深呼吸も忘れずに。しばらくしてから微笑みながら相手の表情を見てみましょう。どうですか相手は怒っていますか笑っていますか。間違いや失敗は誰にでもあります。またやり直しはいつでもできます。一人で苦行の世界へ突進してしまう必要はありません。一呼吸して状況を確かめ進路変更しましょう。

いかがでしょうか、私の場合は、中道を第一の目的としないで、「人それぞれに進む道は違ってよい」、「一人でも多くの人が幸福になることが善」という教えの実現を目的として行動すれば結果として中道になるという考え方です。

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(更新日: 2017年03月23日)
幸せ研究室