第三部 第十八章 怒らない

怒りはどんなときに感じやすいか羅列してみました。

多くの怒りは、予想しない悪事が起きたときに、心が乱れて感じます。怒りは時間とともに、怖れ、怨み、憎しみ、苛めなどに変化していきます。

そこで、怒らないためには、先回りして色々な事態を予想しておき、事態を防止する対策打っておいたり、事態を防げないと予想できるときは、怒らない練習、リハーサルをしておきます。

もともと自分が悪事をしている上に、その悪事を指摘されるとさらに怒り出す人もいます。このようなことにならないよう、普段から悪事に手を出してはいけません。また、間違いを指摘されたとか、悪口をたしなめられたとか、貪りを指摘されたとか、この程度で怒るくらいでは、小者過ぎます。すぐに感謝して訂正することが、大人物というものです。

あなたの正しい努力がなかなか実を結ばなくとも焦ってはいけません。大きな良い考えは理解してもらうのにとても時間がかかります。大きな良い事は実現するまで理解の十倍の時間がかかり、さらに、大きな良い事は世間の人に知ってもらうには、さらに十倍、つまり百倍の時間がかかります。正しい努力、八正道の正精進をしているのなら怒るはずがありません。

醜く強いもの、社会の矛盾や不正義、を見たときの反抗心から怒りを覚える人がいます。ここで怒っては、誰もあなたに賛成してくれません。社会の矛盾や不正義は、たくさんの利害関係が複雑に絡み合った断面の一つです。全体を良く見て、一人でも多くの人のためになるか冷静に判断してみてください。そして、改善するよい方法があれば、その手順も良く考えてから、世間に粘り強く訴えていくしかありません。社会の仕組みは、多くの人々を説得して理解してもらい変えるものです、長い年月を掛けて徐々にしか変わっていきません。

醜く弱いものを見たときのからかい心から、苛めを始めてしまう小者も時にはいます。徒党を組んで苛めるなど卑怯者のすることです。あなたがリーダーであれば、弱者を保護し悪者を懲らしめる必要があります。あなたが一般の人であれば、弱い人に親切にし、よい寄付をしてください。

自分では若い若いと思っているのに、老いを指摘されたとき、怒り出す人がいます。ここで怒ると余計に老いて見えます。たとえ肉体が老いても心が若々しく柔軟な人はそのようなことで怒るはずも無いのです。年上に見られるということは、立派で尊敬できるように見られるということ、堂々と受け止め、笑いと楽しみにつなげてあしらいましょう。

病気のとき、空腹や喉か渇いているなど生理的要求があるときは肉体に余裕がないため、怒りやすい状態です。病気のときは、お見舞いに来てくれた家族や友人は、あなたのことを案じています。気持ちはありがたいけど、苦痛と戦っているから、ごめんねと先に言い出すぐらいでちょうどよいです。一方で、空腹のときレストランでなかなか食事が出ないといって怒り出す人が時々いるそうです。この程度の空腹で死ぬこともなし、怒るぐらいなら、お手伝いを申し出るぐらいの親切をしましょう。空腹とレストランの込み具合は予想できる範囲のこと、飴玉のひとつも用意しておきましょう。

怒りを防止する方法を列挙しました。

怒りに溺れると苦しいのですが抜け出せなくなります。怒りが怒りを呼び互いに貪りあうためです。怒る者は、敵を招き互いに傷つけ合い苦しみの連鎖が続きます。

怒りを止めるには、次のようにします。

  1. まず対象から一歩離れる
  2. 八正道の正見の力を発動する
  3. 対象を多角的に把握する
  4. 対象の大きさを把握する
  5. 怒りがつまらぬことと見切る
  6. 一人でも多くの人が幸福になる方法を見出す
  7. 人に親切にし、よい寄付ができるか考える
  8. 喜び、楽しみ、感謝が蘇る

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(更新日: 2017年03月23日)
幸せ研究室