第三部 第十七章 節度の美意識

あなたは、美しいものをお好みですか、醜いものをお好みですか。

享楽のためだけに浪費をしてはなりません。また、蓄財のためだけにケチをしてもなりません。どちらも、十悪の貪欲に取り付かれた強欲者です。

着物も食物もその他のもろもろの物も、己の享楽、自慢、見栄またはケチだけためではないと知らなければなりません。その時その場相手に応じて物の使い方は変わると考えてください。

あなたの喜びや悲しみを他人が理解できるまでには、手順が必要で、時間もかかります。喜怒哀楽も度が過ぎると、十悪の貪欲に取り憑かれた状態となり、他人の気持ちを思いやれなくなり、相手が自分の気持ちを理解してくれない状況に苛立ち、相手へ十悪の怒りをぶつけるというお粗末な結果に陥ることがあります。喜怒哀楽にも節度が必要です。「第三部 第二十章 喜怒哀楽の表し方」も参考にして下さい。

十悪の貪欲に取り付かれた強欲者は、急き立てられた気持ちとなり、強欲の苦しみを快楽と誤解して我を忘れてしまいます。どんなに着飾ろうとも、どんなに喜んでいても、傍から見れば、強欲者は醜く映り軽蔑されます。

強欲者は強欲者を呼び寄せ、互いに互いを嫉妬し、策謀をめぐらしながら際限なく貪り続けます。

強欲者は、周りの人すべてを苦しめます。そして、我を忘れているので、自分を苦しめていることに気がついていません。

我を忘れた強欲者がいたら、関わりあってはいけません。強欲者は権力を持っていることが多いため、非難したり批評するとあなたを逆恨みして、他の人を使い攻撃してきます、とても危険な人です。関わりを避けて黙って疎遠にしましょう。

強欲者は、醜く危険な人なので、信頼できる友人も愛する家族も離れていきます。強欲者は、誰からも忠告を受けることができません。強欲者は、自分が貪欲に取り付かれていることを自分で気が付くしか救われる道がありません。

強欲者にならないためには、自分の取り分、会社や組織の取り分として本当に必要な量をいつも気にかけておくこと、節度を守ることです。必要以上のものは、寄付するなり、人々の幸福のためになる別の事業に使う必要があります。

組織のリーダーは、人々の長所・役割を見出し、相応しい場所に配置する必要があります。仕事を任せるときも、仕事の成果を受け取るときも、相手に感謝することが大切です。その人のためになるかどうかを気にかけて、組織の仕事がその人に向いていないときは、組織から外れてもらうこともまた愛情です。

組織のリーダー、尊敬される目上の人、つまり権力者になったとき、あなたは、自動的に孤独になります。それがリーダーの宿命です。権力者の唯一の友人は、仏陀のような、大宗教の教祖だけです。どの教祖も教えを残して旅たたれています。ですから本当の友人は残された教えだけです。あなたが権力者となったとき、心に大きな鏡を用意する必要があります。そこにあなたの姿を写して、自らをよく観察する必要があります。「私は、強欲者かどうか」と。

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(更新日: 2017年03月23日)
幸せ研究室