第三部 第二十一章 怪我と病気に向き合う

人間の苦しみの代表として怪我と病気があります。怪我も病気も肉体の苦痛を伴います。怪我と病気に向き合うとは、怪我と病気の苦痛とどう向き合い対処するかということです。

まず最初に、怪我をしたり病気にかからないように、危ないことを避けたり、体を元気に健康に保つことが大切です。そうは言っても時々怪我をしたり病気になることはあります。

自分の経験に照らし合わせてみますと、肉体の苦痛は、その場所で感じ方、リズム、強さ、範囲、種類が異なります。軽い苦痛であれば気にせず忘れてしまい、本来の仕事に集中できますが、大きな苦痛であればあるほど困難になります。そのような場合仕方なく仕事を休み、じっと体を横たえて、怪我や病気の回復を待ちます。

じっと体を横たえて回復を待つときにもちろん苦痛を感じているのですが、感覚器官からの苦痛の信号に意識を集中したり傷口をじっと見つめたりすると痛みがどんどん増して来ることがあります。なんとか苦痛を忘れてしまいたいものですが、なかなかよい方法がありません。最近の頭痛で少しよかった方法は、いちいち肉体の苦痛に心を動かさず、とくに頭の中でぐるぐると痛い痛いと叫ばないで、「大丈夫」と大きく一度考えてしばらく置くぐらいでしょうか。

仕方なく、体への手助けとして、医者にかかり、傷口を治療してもらい、薬を飲み苦痛を緩和することになります。とくに苦痛を緩和することで、心が乱れ怒りを貪り嘘、無駄口、悪口を言うことを避けることができます。

怪我も病気は心と関係なく体が自分で勝手に治してくれます。ただし、ある程度の時間がかかります。たいていの場合、時間とともに苦痛が薄まりやがて消えます。ですから、心がすることは、苦痛に苛々したりすることではなく苦痛を感じる直接の感覚器官の信号をそのまま誇張も矮小もせず受け取り、そのまま捨て去り、体が自動的に直していると信じることです。ベッドにいるときは、きっと良くなると強く一度思い、さあゆっくり眠ろうと思うことでしょうか。

私の経験では、早く回復するることを願い続けても、やはり回復には時間がかかるので、回復し切るまでひたすら何度も願い続けるだけということはできませんでした。痛みを忘れ寝てしまうことが良いのですが、眠れないときは何かで気を紛らわす必要があります。

気を紛らわすなら、良いことで気を紛らわすとよろしいかと思います。楽しい娯楽番組や映画を見るとか、偉人の話を読むとか、ご自分の信仰について再勉強してみるとか、治癒してから人々の幸福のために今度は何をするか計画を考えるとかです。

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(更新日: 2017年03月23日)
幸せ研究室