仏陀の時代から、おおよそ二千四百年を経過して、人類は自然科学を発展させ、機械文明を作り、法治国家による民主主義社会を実現し、世界に行き渡る貨幣経済を普及させました。
もっとも貢献したのは、自然科学の発展とその応用としての、機械・情報・医学・農業です。これにより人類は、暑さ、寒さ、飢え、渇き、病気をずいぶんと克服できました。非常に多くの人の幸せが達成されたのです。だから、過去から変わらない生活方法を続けてしまうと、人口が急激に増えてきます。
国連の2011年版「世界人口白書」によると、2011年10月31日に世界人口が70億人に到達したと推計されてました。いったいどこまで増えるのでしょうか。
人類は、仏陀の時代にはなかった、新しい問題、人口増大問題と環境問題に直面しています。問題に直面するということは、そのことに気が付いていなかった。愚かだったということです。人類は、二十世紀に始めて地球の限界に気が付き、この二十一世紀から真面目に未来を、十年先、百年先、千年先、一万年先以上を考える必要が出てきました。今生きている人は全員、過去の考え方、つまりは無知ですが、これを一度捨てて、冷静に未来を考える必要があります。人類は、地球の大きさを知っていますが、現代の機械文明と農地面積でいったい何人まで養えるのかその限界について研究は未完成です。
非常におおざっぱな考えですが、人口数は、今養える科学力にほぼ等しいと仮定すると、今の機械文明と農地面積では、70億人前後誤差20%と見ることになります。
そして、産業革命前の世界人口が、おおよそ10億人前後誤差20%です。これは、産業革命前の農耕文明と農地面積では10億人前後誤差20%まで養えることを意味します。もしこれから機械文明を止めて昔の生活に戻るとしても六十年以上かけて戻らないと、養えるだけの人口まで平和を保って人数を減らせません。しかも昔の生活は物質的に豊かでないため幸せかどうかもわかりません。
現在の70億人すべてが、日本人と同じ質と量の物質消費をしているわけではありません。多くの人類は、物質的には、日本人よりずっと質素な暮らしをしています。仮に、全人類が、日本人と同じ質と量の物質を消費をすると、資源不足がすぐにでも起きると考えられています。そもそも、今の今、それなりに生活している各国の人々が、日本人と同じだけの物質消費を必要としているかどうかも解りません。ですから、この生活格差が、正義なのか不正なのかも私にはまだよく解りません。
第一の環境の問題とは、エネルギー資源、鉱物資源、肥料資源が、これからも十分足りるかどうかの資源問題です。
第二の環境の問題は、気候変動や巨大自然災害の問題です。温暖化や寒冷化といった気候変動予想では、どちらが本当で、いつごろ何が来るのかも、よく議論されるようになりました。気候変動については、確定的なことはまだ分からないということが正確な判断でしょう。
第三の環境の問題は、人類による環境汚染です。通常の化学物質による汚染は、日本ではほとんどなくなりました。でも伝え聞くところによりますと、中国を始めとするアジアでは汚染対策がまだ不足しているそうです。かつて日本の環境汚染の原因は、無知と隠蔽でした。環境問題を解決したい、美しい環境を保ちたいという願いは、自分たちのためというより、子供や孫のためなのです。
ところが、今年、重要な環境の問題が皆さんに知られるようになりました。今年2011年の東日本大地震をきっかけとする福島第一原子力発電所の大爆発事故で、広範囲の放射能汚染が始まりました。この放射能汚染だけでも、つらい悲しい大災害てす。でも、隠されていた事実、原子力発電所の核廃棄物を捨てる場所が世界のどこにも無い、この環境の問題も、同じかそれ以上に、つらい悲しい事実です。原子力発電所の核廃棄物は放射能が無くなるまで安全な場所で電気を使い水をかけて冷やし続ける必要があります。保管には十万年を遥かに超える時間が必要であることも皆さんに知られました。捨てる場所が無いということは、そのままそこに十万年以上在るということです。十万年とは、人類の文字で書かれたせいぜい二千年の歴史の五十倍の長さです。そのような遠い未来には、氷河期のひとつや二つはあたりまえにあるそうです。十万年間、安全に保管できるか実験して確かめることなどできません。原子力発電所一箇所の核廃棄物の保管管理には、維持費だけでどんなに安く見積もっても一年間に一億円(*1)はかかりそうです。単純計算で十万年倍すれば一箇所の原子力発電所で十兆円かかります。原子力発電所の寿命は今回の事故で五十年であることも知れ渡りました。そして原子力発電所の核燃料はあと全世界に四十年分しか無いことも知れ渡りました。普通に考えれば、核燃料がもうないから、これ以上新しい原子力発電所を作る必要が無いことに誰でも気が付きます。でも、世界のあちこち、中国、ベトナム、トルコその他でどんどん原子力発電所を作ってもらうそうです。原子力発電所しか売るものが無い人は、自分のことだけ考えるのではなく、考え方を変えてもっと儲かること、つまり世界の人々をもっと幸福にすることを考えて欲しいものです。このまま原子力発電所を作れば、当然、核燃料は品不足で値段が上がり続けます。核燃料を売る人には、核燃料が高く売れるので都合はいいのですが、高い核燃料を使う側は大損です。いずれ核燃料が足りなくなり、原子力発電所で作った電気代はもっと上がります。そして、わずか五十年しかない原子力発電所の寿命、十万年間に比べれば、比率でたったの0.0005の、原子力発電所のために、残る残骸、廃墟の原子力発電所と汚い核廃棄物についての十万年間の保管責任と十兆円(*1)の費用を、子供や孫、子孫は負担しなければいけません。実は、すでに日本には三十箇所の原子力発電所、実際の原子炉は一箇所に複数基あるのでもっと数多いのです、がありますので、一年間で三十倍の三十億円(*1)かかります。私たち日本人は、未来の子供や孫、子孫に大きな負担を押し付けてしまいました。単純計算で十万年間分を計算しますと、三百兆円(*1)という気の遠くなる金額です。今後のことを深く深く深く考え、状況を改善しなければなりません。
(*1)金額は根拠がありませんので、ずっと低く予想するため、警察官わずか十人の専属警備費用を見込みました。最近(2011年12月2日)の根拠のある数字として、 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111202-00000043-mai-int には、 「英国が保有する民生用余剰プルトニウムの総量は、日本の電力会社などが英国に再処理を依頼して抽出した28トンも含めて114.8トン(10年末)で、管理費は年約20億ポンド(約2400億円)。」とあります。これは、英国の記事を翻訳したものです。英語の記事、例えば、 http://www.world-nuclear-news.org/WR-Prism_proposed_for_UK_plutonium_disposal-0112114.htmlには、「The country is currently storing about 112 tonnes of civil separated plutonium at Sellafield, including some 28 tonnes of material belonging to overseas customers.」とあり、「114.8トン」が確かな数字です。 http://www.guardian.co.uk/environment/2011/nov/30/ge-hitachi-nuclear-reactor-plutonium?newsfeed=trueには、「Ministers have been increasingly talking about the future of the stockpile, which costs about £2bn a year to maintain, and some in government want the plutonium to be classed as an asset rather than a liability.」とあり、「年約20億ポンド=約2400億円」が確かな数字です。 英国の約2400億円から考えると、日本が一年間、三十億円が安すぎる見積もりであることがよく判ります。英国の約五分の一とすると年間約五百億円、十万年で五千兆円です。
資源の分配が多国家間で、非常に下手糞に争われた例が、第二次世界大戦です。二度と大戦争をしなくて済むように、人類共通の問題として、人口増大と環境の問題を平和的に解決しないと、いけません。
こういう世界の状況を知ると、日本の人口が減少しており、50年後に半減する可能性があるという予想は、日本の平和を確保できるという前提が必要ですが、世界の人口問題と資源不足の問題に上手に対処できる非常に都合がよい変化とも考えられます。人口が減れば生活の質を維持して、いやむしろ向上して、つまり一人一人が豊かになって、環境の問題を解決できるからです。
ある程度以上の水準で、個人個人が満ち足りた生活ができるようになると、やたらと子供を産む必要が無くなるということです。子供が少ないということで、子供は大切にされますし、行列不要となり空いていて気持ちいいですし、待つという無駄な時間が減るので有効時間が増えますし、家の面積は広くできますし、一人当たりの物も豊かになりますし、やたらと能率とか効率優先にする必要もありません。
昔の日本、第二次世界大戦の前までは、子供をたくさん産むことが推薦され、子供も働かせることで強い国を作ろうとがんばっていました。とても厳しい見方をすれば、子供を使って大人が楽をしようとしてあせっていたのですね。その分、子供は大変だったようです。医学が進んでいないため小さい弱い子供はすぐ亡くなりました。子供がたくさんいるので一人一人に満足いく教育はできません。お母さんは一人で子供が五人六人が普通ですから子供に眼が行き届くはずもありません。成人式を迎えるだけでも大変に苦労した時代だったそうです。
子供や若い人を安く大量に使い、生き残った僅かの老人が権力を握るという構造は、年齢構成が、ピラミッド型の社会、つまり医学の未発達の社会では通用します。こういう社会では、とにかく生き残り老人になることが権力を握ることです。ですから生き残りこそが大切な目標でした。生き残りの目標を達成し権力を握ったい老人が、尊敬されるのはアタリマエの古い世界した。ところが、だれでもが健康で長生きし老人になってしまう現代では、老人が尊敬を集めることは難しいのです。まして権力を持っている老人は尊敬というより敬遠されてしまいす。もしその人が本当の尊敬を受けたいのであれば、最低でも十万年分の明るい確かな未来を提案することが、これからは必要なのです。
今は、子供を働かせる代わりに、機械やコンピューターが働いてくれます。インターネットの技術が発達したので、世界中のテレビを見たり、誰でも世界中の人とテレビ電話で直接お話したり、日記をプログで公開したりできます。それもお金がほとんどかかりません。
未来はこんな具合に楽しく明るくなるでしょう。教育の知識を得る部分は、インターネットを活用して勝手にマイペースで自習できるようにもうすぐなります。学校で知識を勉強する必要は無く、学校はスポーツや芸術をしたり科学の実験をしたり、つまり皆で遊びに行くところになります。情報通信の発達のおかげでわざわざ出かけて行く必要がどんどん減って行きます。仕事で通勤することが減っていき、旅行とかパーティで出かけるようになります。そのうちロボットが発達して、介護や家事をしてくれるようになるでしょう。移動するにも一人一人専用の安全な自動運転の車を利用するようになるでしょう。農業は、工場のように管理された場所でロボットが種まきから収穫までするようになるでしょう。太陽光発電やさらに新しい技術(*2)が主力になり自分の家の電気は自分で作るようになるでしょう。大工場は、南太平洋上の大きな大きな船の上につくられ、海に浮かべた太陽光発電パネルや新型の発電設備(*2)でエネルギーをまかうようになるでしょう。そのうち町ごと南太平洋上の大きな大きな船に引越します。なにせ今すぐでもこの大きな大きな船は坪単価十万円以下で作ることができます。つまり日本のどの町より土地代が安いのです。昔と同じことを日本でする必要はもう無いと考えたほうが良いでしょう。みなさんもどんどん良いものを発明して発売して明るい未来を作ってください。
(*2)2012年の情報では、かつてインチキ扱いされた常温核融合技術の商用化が、 米国やヨーロッパのベンチャー企業で開発準備されているそうです。 残念ながら英語情報ばかりで日本にはまったく伝えられていません。 興味のある方は、 LENR, E-CAT, Brillouinなどのキーワードで検索してみてください。 日本の技術者や企業の奮起を期待したいところです。
子供を産む人がいないので、外国から移民を日本に呼びよせて日本人より安い賃金で働かせたらいいという人もいます。でも、十年後、二十年後に、今度は移民の人たちは賃金が上がり老人になります。また移民が欲しくなります。移民して来る人の将来を考えない意見は、単なるその場凌ぎで身勝手な欲望です。世界の歴史を振り返って見ると、移民してきた人々に自活できる財産として農地を贈与できるぐらいでないと移民は成功しません。
おそらく、世界には、この他にもまだまだ問題たくさんあります。人類は自然科学を発展させ、社会制度をもっと洗練して、問題を解決していかなければなりません。
欠乏する資源の争奪が国家間の戦争を招く危険、欠乏する資源を利用して自分だけの利益を追求してしまう困った考え、遠い未来の子孫のことを考える必要があることを学ぼうとしない無知と無関心、こういうことが諸問題の原因と考えられます。心に原因を求めれば、貪りの煩悩、飽きることなく欲しがる強欲や嫉妬が原因でしょうか。
仏陀の教えは、個人の心の救済には、うまく使える手段ですが、人口増大と環境に起因する問題の解決方針に使えるでしょうか。私は、未来の子供への思いやりを入れたいと思います。こんな具合です。
仏陀の教え(これまで) | 仏陀の教え(これから) |
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一人でも多くの人が幸福になることが善 | 一人でも多くの人と未来の子供が幸福になることが善 |
人々の幸福のためになる職業に就く | 人々と未来の子供の幸福のためになる職業に就く |
自分、家族、人々の命を大切にし親切にする | 自分、家族、人々、未来の子供の命を大切にし親切にする |
困った人を見たら助けてあげる | 困った人を見たら助けてあげる。未来の子供に幸せを送る |
人々へ喜びと楽しみを与える | 人々と未来の子供へ喜びと楽しみを与える |
人々の苦しみを取り去る | 人々と未来の子供の苦しみを取り去る |
人々の喜びをともに喜ぶ | 人々と未来の子供の喜びをともに喜ぶ |
人々に惜しみなく施す | 人々と未来の子供に惜しみなく施す |
殺人、むやみに生き物を殺すことは禁止 | 殺人、未来の子供を苦しめる、むやみに生き物を殺すことは禁止 |
泥棒、盗み、ズル、悪事隠蔽は禁止 | 泥棒、盗み、ズル、悪事隠蔽、未来の子供にツケを回すことは禁止 |
嘘をつくことは禁止 | 嘘をつくこと、未来の問題を隠蔽することは禁止 |