心理学では、人間が感じる「人から認められたい」という欲求を承認欲求と呼びます。 これから話すことは、私が普段から感じ考えていることですから、 心理学の用語としての承認欲求の意味合いとは異なる説明になると思います。
まず承認欲求を相手で分類すると、
目上の人とは、母親や父親であり、学校の先生であり、 職場の上司であり、偉いお坊さんや、牧師さんなど神仏の代理人です。
人間は、自分が絶対に追いつけない人、自分が尊敬する人から褒められたいのです。 人間は、自分が尊敬する人から褒められるととても嬉しく幸せな気分になります。 つまり、人間には、ボス・親分に支配されたいという願望、従属欲があるのです。
褒めて欲しいという願望が強すぎると、あなた自身も周囲も困ります。 まずは、成果・良い結果を出すために、心を落ち着かせ集中して取り組むことです。 良い結果が出ても手柄をいきなり自慢せず、良かった良かったと喜ぶだけにしておきましょう。 自慢されてしまうと、目上の人は褒めたくなくなります。 褒められた時は、「あなた(目上の人)の助言のお陰です」と感謝を表しましょう。
私も含めてですが、 同僚や目下の者から褒められても嬉しくないという人が大多数です。 でも、同僚や目下の者から褒められたときこそ、 自分の度量の大きさを示せる大切なときです。 「褒めていただいてありがとうございます。」 と最初に言えれば、十分かと思います。 「そんなことございません。」と ヘタな謙遜は、現代では不要かと思います。
同僚とは、兄姉だったり、学校の級友だったり、職場の同僚だったり、 遊び友達だったり、趣味仲間だったり、自分と対等に口が聞ける人たちです。 日本国憲法にもあるので、普通は自分の妻や夫を対等の関係と考えている人が多いと思います。 人間は、そういう友人から無視されたり疎外されることなく、 仲間として認めて貰いたいということです。
私もそうですが、夫婦、兄弟姉妹、友人とは、 周りくどい挨拶は控えめにして、 率直に思ったことを言い合いたいのではありませんか。 その方が、隠し事もなく、大切にされている感じがしますから。 それでも、「親しき仲にも礼儀あり」とよく聞かされたように、 一線を超えないように自分の言葉に注意しましょう。 私は、自分の弱点や肉体的欠点に当たる言葉を相手に無頓着に使われると、 ピリピリ感じてしまいます。 そのピリピリ感は、あなたの心の中に、綺麗な花が咲いていれば、 余裕で流して捨て去ることができます、でも、あなたの心の中が砂漠だったら、 反感を感じて言い返すか、態度が悪くなってしまいます。 いつも心の中に、綺麗な花を沢山咲かせておき、 それを思いやりの言葉として相手に送りましょう。 相手もあなたと同様の人間ですから、あなたが思いやりのある綺麗な言葉で話すことで、 相手を大切にしていることが伝わるのです。
詳しく観察すると、この同僚にも、人間は序列を付けています。 人間の心理は、微妙ですから、周囲の状況で、この序列が変化します。 夫婦で買い物に行くと、デパートでは、妻が優勢となり、電器店では夫が優勢となります。
目下の者とは、自分の子供だったり、弟や妹や、学校の後輩、 職場の後輩や部下などです。 よくある例として、妻や夫を目下の者と考えている人がいます。 人間は、目下の者の全員から、尊敬され、ちやほやされたいのです。
人間は、目下の者が言う事を聞かないと、不機嫌になります。 人間は、目下の者が逆らうと、「自分より弱い奴が何を言う」ということで、怒り攻撃しだします。 これが、人間にある人を支配したいという支配欲です。
支配欲をむき出しにして、目下の者をぞんざいに扱う、 つまり乱暴な言葉で命令すると、後で痛い目に会います。 目下の者は、あなたから褒めてもらいたいのですから、 まず褒めてから、指示をすることです。 また、まず褒めてから、弱点を改善するともっと良くなると指摘することです。
よくある例ですが、日本の学校の部活動では、 試合で優勝するぐらいの実力が合っても練習にあまり来ない者より、 試合には全く勝てませんが毎日来た者ほど、先生や先輩から褒められます。 同様に、日本の会社では、仕事はまったく成果がでないのですが、 残業する者ほど上司から高い評価を得る場合が多いと聞きます。 これは、先生や先輩、上司に実力がなく業績も無いときに、よく起きる現象です。 ちっさい人物が、先生や先輩、上司であれば、ほぼ確実にそうなります。 ちっさい人物ほど、形式的な上下関係を重視し、 目下の者であるあなたを支配下に置きたいのです。
日本には「能ある鷹は爪を隠す」という諺があります。 この意味は、 「本当に能力のある人は、実力のない上司先輩から睨まれないように立ち回り、しかも成果を上げる」 ということです。 今一度、八正道や十悪を確認して、あなたの行動を見直ししてください。
目上の方に丁寧な言葉で話すだけでは、うまくいかないこともあります。 許可や承認を得るには、相談を持ちかけ指導を仰ぐ方法が好ましいと思います。
目上の人、同僚、目下の者の区別は、あなたが勝手にしていることです。 相手のランク付けとあなたのランク付けが違うことは常にあります。 相手が小さな人物であればあるほど、 あなたからどのように思われているかを気にしています。 だから、あなたは、できるだけ目上の方のように尊敬してあげる、 あるいは少なくとも大切な友人のように丁寧に扱いましょう。
犬を飼うと、犬は人間の家族と自分の間で序列を作るといいます。 これは、犬の本能と言われています。 犬をしっかり躾けるとは、この序列、人間より犬のオマエは下、を憶えさせることです。
承認欲求も突き詰めると序列を作ることであり、序列の確認行為なのです。 承認欲求が人間の本能なのか、家族、社会の影響であるのか、 断定的結論は出ませんが、承認欲求の性質を理解すると人生がうまくいくことは確かです。